卵巣嚢腫と診断されたとき、多くの女性が「これから妊娠できるのだろうか」と不安を感じることでしょう。
特に赤ちゃんを望んでいる方にとって、この診断は大きな心配の種となります。
しかし、結論から言うと、卵巣嚢腫があっても妊娠は可能です。
この記事では、卵巣嚢腫と妊娠の関係について詳しく解説し、妊娠確率を高めるために試せることをご紹介します。
卵巣嚢腫とは何か
卵巣嚢腫とは、卵巣の中や表面に液体や半固形物質が溜まった袋状のしこりのことです。
多くの女性が生涯のどこかで経験することが比較的起多い状態です。嚢腫にはいくつかの種類があります。
- 機能性嚢腫:排卵周期に関連して自然に発生し、通常は数か月で自然消失します
- チョコレート嚢腫(子宮内膜症性嚢腫):子宮内膜症に関連し、月経血が卵巣内に溜まったもの
- 皮様嚢腫:胎生期から存在する細胞から発生する良性腫瘍
- 粘液性嚢腫:粘液が充満した嚢腫
- 漿液性嚢腫:水様の液体が溜まった嚢腫
嚢腫の多くは良性で、自然に消失することもありますが、種類や大きさによっては治療が必要な場合もあります。
卵巣嚢腫は妊娠に影響するのか
「卵巣嚢腫があると妊娠できないの?」この質問をよく耳にします。
安心してください、卵巣嚢腫があっても多くの女性が自然妊娠する方はいます。
ただし、嚢腫の種類、大きさ、位置によっては、妊娠のしやすさに影響する可能性があります。
影響が少ない場合
機能性嚢腫など、小さく一時的な嚢腫は、多くの場合、妊娠能力にほとんど影響しません。
これらは通常、数か月で自然に消失し、長期的な問題を引き起こすことはありません。
影響がある可能性がある場合
以下のような状況では、妊娠に影響する可能性があります:
- 両側の卵巣に大きな嚢腫がある場合:健康な卵胞の発育や排卵に影響することがあります
- チョコレート嚢腫などの子宮内膜症関連の嚢腫:炎症や癒着を引き起こし、卵管が詰まったり、卵子と精子の出会いが阻害されたりする可能性があります
- 卵巣茎捻転(嚢腫によって卵巣がねじれる状態)が起きた場合:緊急手術が必要となり、場合によっては卵巣の機能に影響することがあります
卵巣嚢腫がある場合の妊娠への取り組み方

卵巣嚢腫と診断されても、希望を持つことが大切です。以下のステップで妊娠への道を進みましょう。
1. 専門医との相談を優先する
まずは産婦人科医や生殖医療専門医との相談が最優先です。医師は以下のような情報を提供してくれるでしょう。
- あなたの嚢腫の種類と状態
- 妊娠に与える可能性のある影響
- 治療が必要かどうか
- タイミング法や人工授精、体外受精などの選択肢
医師と率直に話し合い、自分の希望や心配事を伝えましょう。質問リストを事前に準備しておくと安心です。
2. 適切な治療の検討
嚢腫の種類や大きさによっては、妊娠前に治療が推奨されることがあります。
経過観察:小さな機能性嚢腫は、しばらく様子を見て自然消失するのを待つことがあります。
薬物療法:ホルモン治療が選択肢となる場合があります。特に子宮内膜症関連の嚢腫では、一時的に排卵を抑制して嚢腫の成長を止めることがあります。
手術療法:以下のような場合は手術が検討されます。
- 大きな嚢腫(一般的に6cm以上)
- 痛みなどの症状がある
- 悪性の可能性がある
- 不妊治療を始める前
手術の方法には、腹腔鏡手術(小さな切開で行う低侵襲手術)や開腹手術があります。
可能であれば嚢腫のみを摘出し、健康な卵巣組織を残す「嚢腫摘出術」が行われます。
3. 生活習慣の改善と自然妊娠確率を高める工夫
卵巣嚢腫があっても、以下の方法で妊娠確率を高める取り組みができます。
バランスの取れた食事:抗酸化物質が豊富な食品(色とりどりの野菜や果物)、良質なタンパク質、適量の健康的な脂肪を摂ることで、卵子の質を高める可能性があります。
適度な運動:週に150分程度の中程度の運動は、血流を改善し、ストレスを軽減します。ただし、過度な運動は避けましょう。
ストレス管理:瞑想、ヨガ、深呼吸などのリラクゼーション法を取り入れましょう。慢性的なストレスはホルモンバランスに悪影響を与えることがあります。
排卵日の把握:基礎体温の測定や排卵検査薬を使用して、最も妊娠しやすい時期を把握しましょう。
葉酸の摂取:妊娠を希望する女性は、妊娠前から葉酸を摂取することが推奨されています。
チョコレート嚢腫と子宮内膜症がある場合の特別な注意点
チョコレート嚢腫や子宮内膜症がある方は、特に以下の点に注意しましょう。
- 早めの行動を:卵巣嚢腫は時間とともに進行することがあります。妊娠を希望するなら、早めに専門医に相談しましょう。
- 抗炎症作用のある食事:オメガ3脂肪酸が豊富な食品(青魚など)や、ターメリックのようなスパイスを取り入れると良いでしょう。
- 不妊治療のタイミング:卵巣嚢腫がある場合、自然妊娠が難しいこともあります。早めに不妊治療の選択肢を検討することも大切です。
鍼灸療法:卵巣嚢腫と不妊への自然なアプローチ

東洋医学の観点からのアプローチとして、鍼灸療法は卵巣嚢腫のある方の妊娠サポートとして注目されています。
鍼灸の効果と役割
血流改善:鍼灸は骨盤内の血流を促進し、卵巣や子宮への栄養や酸素の供給を高める可能性があります。
これにより、卵巣機能の改善や嚢腫の自然縮小をサポートすることが期待されています。
ホルモンバランスの調整:鍼治療は視床下部-下垂体-卵巣軸に働きかけ、ホルモンバランスを整える効果があるとされています。
これにより排卵の質や規則性が改善する可能性があります。
炎症の軽減:特にチョコレート嚢腫などの炎症を伴う状態では、鍼灸の抗炎症作用が症状緩和に役立つことがあります。
ストレス軽減:鍼灸はリラクゼーション効果があり、妊活のストレスを軽減します。
ストレスホルモンの減少は、生殖ホルモンの正常化にも寄与します。
西洋医学との併用:鍼灸は西洋医学的治療との併用が可能です。
体外受精などの不妊治療中の方でも、補完療法として取り入れられることがあります。
実際に、体外受精の成功率を高める可能性を示す研究も報告されています。
鍼灸を試す際は、不妊や婦人科疾患の治療経験が豊富な専門の鍼灸師を選ぶことが大切です。
また、必ず主治医に相談し、自分の状態に適しているかどうかを確認しましょう。
きむら鍼灸での妊娠例
38歳 チョコレート嚢腫 体外受精 鍼灸治療54回で妊娠
34歳 卵巣嚢腫、多嚢胞性卵巣症候群 体外受精 鍼灸治療28回で妊娠
43歳 卵巣嚢腫 体外受精 鍼灸治療25回で妊娠
38歳 卵巣嚢腫(手術済) 体外受精 鍼灸治療23回で妊娠
34歳 両側卵巣嚢腫 2段階移植(分割胚、胚盤胞) 鍼灸治療35回で妊娠
37歳 チョコレート嚢腫、子宮筋腫 (分割胚、桑実胚) 鍼灸治療23回で妊娠
まとめ
卵巣嚢腫があっても、妊娠の可能性はあります。適切な医学的管理、健康的な生活習慣、そして必要に応じて鍼灸などの補完療法を組み合わせることで、妊娠確率を高めることができるでしょう。
大切なのは、自分自身の体に耳を傾け、専門家のサポートを受けながら、あなたに合った方法を見つけていくことです。
一人で悩まず、同じ悩みを持つ仲間やサポートグループとつながることも、心の支えになるでしょう。
卵巣嚢腫という診断に落胆することなく、希望を持って前に進んでください。
多くの女性が同じ道を歩み、赤ちゃんを授かっています。あなたの妊活の旅が実りあるものになることを心より願っています。
