不妊鍼灸

不妊クリニックで不妊治療を受けているけれども、妊娠までたどり着けない方がいます。そんな方には、不妊鍼灸治療も併用することをおススメしています。

クリニックでの不妊治療+鍼灸を同時に受けていくと、妊娠率が高くなる報告が多数あるからです。

不妊と鍼灸に関する研究

2002年

体外受精の前後に女性の体をリラックスさせるハリ治療をすると、妊娠率が大幅に向上するという研究結果をドイツと中国の研究チームがまとめました。

2006年

デンマークにて、胚移植期に鍼灸治療を行なって体外受精、顕微授精の妊娠率を上昇させるかを調査。

鍼を行なわない組では22%の妊娠、鍼治療組では36%の妊娠率となり、鍼灸治療を行なった組に有意に妊娠率が高くなったことがわかりました。

2008年

『BMJ』(イギリス医師会雑誌)に掲載されたManheimerで、「胚移植前に鍼灸治療を受けることにより、妊娠率と生産率が有意に上がる」と発表されました。

2022年

鍼治療介入群と、鍼治療無しまたは偽鍼(プラセボ)からなる対照群を比較(27件7676人)して、検討しました。

鍼治療介入群は
・出生率(RR = 1.34; 95% CI (1.07, 1.67); P < 0.05)
・臨床妊娠率(RR = 1.43; 95% CI (1.21, 1.69))
・生化学的妊娠率(RR = 1.42; 95% CI (1.05, 1.91); P < 0.05)
・妊娠継続率 (RR = 1.25; 95% CI (0.88, 1.79); P < 0.05)

すべてで有効だったことが示唆されました。

論文:Acupuncture as Treatment for Female Infertility: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials

大切なことは、ただ単に鍼治療をすればよいのではなく、学会・論文等で報告された手法など、その方法に基づき行うことが重要であるという事です。

きむら鍼灸では不妊で悩んでいるカップルのために、不妊鍼灸を行っています。

不妊症の考えられる原因、当院の治療方針、この鍼灸により身体がどう変化することが期待できるのかを説明させていただきます。

目標達成のために、あなたの現在の状況に対してどんなことができるかを一緒に考えていきましょう。

不妊症の原因について

不妊症の原因は「男性にある場合」「女性にある場合」「両方にある場合」の3パターンがあります。

それぞれの比率についてWHO(世界保健機関)が調査したところ、女性因子37%、男性因子8%、女性及び男性因子35%、原因不明5%、調査中に妊娠成立したものが15%だったそうです。

不妊は女性だけでなく男性にも原因があるケースが多いのです。

女性側の原因
  • 排卵因子(排卵障害)
  • 卵管因子(閉塞、狭窄、癒着)
  • 子宮因子(子宮筋腫や子宮内膜ポリープなど)
  • 頸管因子(子宮頸管からの粘液分泌異常など)
  • 免疫因子(抗精子抗体など)
  • 原因不明
男性側の原因
  • 造精機能障害(精子を作る過程でのトラブル→精子が少ない、運動率低下、奇形率上昇)
  • 性機能障害(ED、射精障害)
  • 精路通過障害(精巣上体炎など炎症性疾患、鼠経ヘルニア手術など)

不妊にはいくつか理由が考えられて、それぞれの理由に合わせた鍼灸治療を行っていくことが重要です。

きむら鍼灸の不妊鍼灸では、基本的には次の3ステージを見極めて施術を行います

不妊である理由の1つとして、良い卵子が作れていないことが考えられます。

卵巣周囲の血流量増加により、卵子形成に必要な栄養が行き渡り、卵子の質の向上を目指します。

対象:高FSH、低AMH、採卵の予定がある、良好胚に恵まれない、採卵数が少ない、排卵障害など

良質な卵子が出来ても、着床するためのベッドである子宮環境が整っていなければいけません。

具体的には、「厚みのある子宮内膜にすること」が重要です。

子宮周囲の血流量増加により、子宮内膜を肥厚させ、着床環境を整えます。

対象:子宮内膜が薄い、胚移植の予定がある、なかなか着床しない方など

不妊の原因は女性側がフォーカスされやすいですが、実は男性側の原因も約半分と言われています。やはり良好な受精卵に出会うためには良好な精子も必要になります。

ストレス緩和、精巣周囲の血流増加を図ります。

対象:精子が少ない、運動率が悪い、ED、射精障害など

妊娠を継続して出産出来る体づくり

無事着床出来ました!おめでたいことですが、最終目標は「無事に出産すること」です。妊娠してから出産できる身体に仕上げていく必要があります。

当院の鍼灸SL併用療法により、本来持っている自然治癒力(自分で治そうとする力)を引き出し、妊娠できる体質改善を目指します。

具体的には肩こり・腰痛・冷え・内臓機能低下などの改善はもちろん、自律神経やホルモンのバランス調整にアプローチしていきます。

鍼灸SL併用療法について

きむら鍼灸では「コリ」と「血行」にフォーカスした鍼灸SL併用療法を行います。

鍼灸治療はもちろん大切ですが、SL(スーパーライザー)も不妊鍼灸では必須であると考えています。鍼灸単独よりも、高い効果が期待できます。

実際、多くの生殖専門医が在籍する日本レーザーリプロダクション学会では、このようなLLLT(低出力レーザー治療器)を用いた不妊治療に関する報告が多数あります。

妊娠のために大切となるポイントは次の2点です。 

① コリを緩めること
② 血行改善を図ること

妊娠のためには、この2つを根本改善していくことが必要不可欠となります。

①コリが妊娠に影響すること

コリがあることで血行不良が起こります。血行不良が起こると、その部位に痛みやしびれが発生したり、やる気の低下、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの崩れなどさまざまな不調が起こります。

それが原因で妊娠しにくい状態になっていることがあります。

②血行不良が妊娠に影響すること

血行が滞ると、酸素や栄養が全身に行き届きにくくなることで、老廃物が蓄積してしまいます。それが卵子の状態・子宮の状態・精子の状態に悪影響となります。

卵子の例

よい卵子に恵まれるために卵巣について考えてみますと、卵子は排卵される3~4か月前より準備されます。

その頃はFSH(卵胞刺激ホルモン)の影響はそれほど大きくないので、ホルモン・栄養は血流にのって行き届く要素が強いです。

排卵周期になるにつれFSHの影響が強くなります。

良い卵子に恵まれるには排卵時期は成熟することが重要ですが、その前に血流にのって卵子に栄養が行き届くことが重要であると考えています。

子宮の例

子宮においては、「子宮内膜の肥厚は、子宮の血流との関連がある」という報告があります。

体外受精を経験されている方ならおわかりいただけると思いますが、当院の治療を受けてからの体外受精で「今まで胚盤胞にならなかったのが、胚盤胞で凍結できた」「移植時の子宮内膜の厚みが以前より増加した」などと仰られる方が多いです。

以上のことから、妊娠しやすいからだを作っていくために、まずは「コリを丁寧に緩めること」そして「血行改善を図ることが」が大事なのです。

当院ではあなたのコリを緩めるために、まずは触診を行い、どこにどのくらいのコリが存在するのかを探ります。

そしてコリの場所と程度に合わせて鍼灸治療とスーパーライザー(直線偏光近赤外線治療器)による治療を併せて行います。

効率の良い治療のために

効率よく治療するために、まずは「コリ」を緩める、その後に「血行改善」を図る、という順番を守ることがとても重要になります。

「コリ」があるから血流が悪くなるのです。だから、先にコリを緩め、その後に血行改善の施術が必要になります。

そして、授かるための底上げを図ってからは、その状態を維持(継続)することが大切です。

施術時期について

基本的には鍼灸治療は妊娠~出産を受け入れられる体質改善・底上げを図ることを目的としているので、例え月経中であろうと問題なく受けることができます。

体外受精で採卵、移植の予定がある場合は、それに合わせた施術時期を提案しています。

例えば、「良い受精卵に恵まれたい」「今後採卵の予定がある」の場合

・卵子は排卵される4か月前より準備される
・精子は精巣で作られ始めてから、射精されるまで約3か月かかる

⇒卵子と精子の質を改善し、良い受精卵に恵まれるためには、2週で3回(約5日に1回)~週1回(7日に1回)のペースで、まずは3~4か月の施術をおすすめします。

人工授精、体外受精(採卵・移植)前後については、ご相談ください。

妊娠しやすい体づくりを目指しますので3~6ヶ月がひとつの目安となります。 鍼灸治療を行う前の採卵状況と、鍼灸治療を3~6ヶ月後の採卵状況で、胚盤胞到達率や採卵数を比較してみましょう。