体外受精の着床率・成功率を上げるためにできる5つのこと

体外受精(IVF)は、不妊治療の選択肢として多くのカップルに希望をもたらしています。

しかしその過程は身体的にも精神的にも負担が大きく、成功率を少しでも高めたいと願う方は多いでしょう。

この記事では、体外受精の着床率・成功率を上げるために実践できる5つの重要なポイントについて、不妊専門の鍼灸院の観点から詳しく解説します。

目次

最初にお伝えしておきたいこと

これから解説することは、どれも研究・論文などで効果が示されたものです。

そのため「出来るだけ全部試したい」と思うかもしれません。

しかしそのように全部試したいと考えると、全部出来なかった時に大きなストレスとなり、逆に悪影響となることも。

なので「出来る範囲で」「余裕を維持できる状態で」試していくことを、お約束ください。

1. 健康的な生活習慣の確立

バランスの取れた食事

体外受精の成功には、体の状態を最良の状態に整えることが重要です。

栄養バランスの取れた食事は、卵子や精子の質を向上させ、子宮内膜の状態を整えるのに役立ちます。

特に不妊治療・体外受精の際は、以下の栄養素に注目しましょう。

葉酸

卵子の品質向上に寄与します。緑黄色野菜、豆類、全粒穀物に多く含まれています。

オメガ3脂肪酸

炎症を抑え、生殖機能を向上させる効果があります。青魚(サバ、サーモンなど)、亜麻仁油、クルミに豊富です。

抗酸化物質

ビタミンC、ビタミンE、セレンなどは、卵子や精子の酸化ストレスから守ります。果物、野菜、ナッツ類に含まれています。

亜鉛とビタミンD

生殖機能の正常化に重要な役割を果たします。

また、加工食品や糖分の多い食品、カフェイン、アルコールは控えることが望ましいでしょう。

※サプリを適切に利用することも効果的なので、どんなサプリが良いか気になる時は、スタッフにお気軽にご質問ください。

適度な運動

軽度から中程度の運動は、血行を促進し、ストレスを軽減し、ホルモンバランスを整えるのに役立ちます。

特に推奨されるのは次のような運動です。

  • ウォーキング
  • 水泳
  • ヨガ(激しくないもの)
  • ピラティス

ただし、過度な運動や高強度のトレーニングは、排卵や着床に悪影響を及ぼす可能性があるため避けた方が良いでしょう。

特に体外受精の周期中は、医師の指示に従い、運動の強度と頻度を調整しましょう。

十分な睡眠と休息

質の良い睡眠は、ホルモンバランスの維持に不可欠です。

特に生殖ホルモンの多くは睡眠中に分泌されるため、7〜8時間の良質な睡眠を確保することが重要です。

良い睡眠は次のような環境づくりから始めると良いでしょう。

  • 一定の就寝・起床時間を守る
  • 寝室は暗く、静かで快適な環境に整える
  • 就寝前のスクリーン使用を控える
  • リラックスするための就寝ルーティンを作る(読書、温かい入浴など)

2. ストレス管理の実践

ストレスが生殖機能に与える影響

ストレスは体内のコルチゾールというストレスホルモンを分泌させ、生殖ホルモンのバランスを乱す可能性があります。不

「妊治療自体がストレスが天敵」とよく言われますので、「ストレス→生殖ホルモンの乱れ→ストレス」という悪循環を断ち切ることが重要です。

効果的なストレス軽減法

  • マインドフルネス瞑想: 1日10〜15分の瞑想が、ストレスホルモンの低減に効果的です。
  • 呼吸法: 深呼吸やボックスブリージングなどの呼吸法は、交感神経の興奮を抑え、リラックスを促します。
  • カウンセリング: 不妊治療専門のカウンセラーに相談することで、感情的な負担を軽減できます。
  • サポートグループ: 同じ経験をしている人々との交流は、孤独感の軽減につながります。
  • 趣味や創作活動: 自分が楽しめることに時間を費やすことで、マインドをリフレッシュできます。

パートナーとのコミュニケーション

不妊治療の過程で感じる感情や心配事をパートナーと共有し、お互いをサポートし合うことが大切です。

二人で対処することで、精神的な負担が軽減され、治療に前向きに取り組めるようになります。

1人で悩まずきむら鍼灸にご相談を

不妊治療におけるストレスの問題はとても対処が難しく、女性側が1人で抱え込んでしまうケースが多々あります。

「1人ではないこと」「誰かと悩みに関してコミュニケーションを取れる状態にいること」、この2つが不妊中のストレス解消でとても重要な役割を持ちます。

「ストレスを解消しろと言われても、どうしたら良いかわからない」と思う方もいるでしょう。

そのためきむら鍼灸では、不妊治療中の方との「カウンセリング」「コミュニケーション」を重視しています。

ただ話す相手がいるだけで、スッと心が軽くなるものです。お気軽にご相談ください。

3. 医学的アプローチの最適化

薬物療法の適正化

ホルモン剤や補助薬の適切な使用は、卵子の質や子宮内膜の状態を改善する可能性があります。

  • エストロゲンやプロゲステロンのサポート
  • 子宮内膜の血流を改善する薬剤
  • 免疫系をコントロールする薬剤(適応がある場合)

重要なのは、これらの薬剤は必ず医師の指示のもとで使用することです。

気になることがある場合は、必ず担当医に相談して、改善につなげていきましょう。

胚移植のタイミングと方法の最適化

  • 胚盤胞移植: 初期胚よりも胚盤胞での移植が成功率が高いケースが多いです。
  • 凍結胚移植: 新鮮胚移植より凍結胚移植のほうが着床率が高い場合があります。これは、刺激周期後に子宮内膜が最適な状態になるのを待つことができるためです。
  • 複数胚移植vs単一胚移植: リスクとベネフィットを医師と相談しましょう。

4. 子宮内環境の最適化

子宮内膜の厚さと質の改善

着床には適切な厚さと質を持つ子宮内膜が必要です。

以下の方法で子宮内膜の状態を改善できる可能性があります。

  • 適切なホルモン補充: エストロゲンとプロゲステロンの適切な投与
  • ビタミンEの摂取: 子宮内膜の血流改善に役立つ可能性があります
  • L-アルギニン: 一部の研究では子宮内膜の血流を改善する効果が示されています。

L-アルギニンは一部不妊専門クリニックでサプリとして処方しているケースもあります。

子宮内の免疫環境の調整

免疫系の異常が着床障害の原因となっている場合、以下のアプローチが検討されることがあります。

  • 低用量アスピリン: 血流改善と軽度の免疫調整効果があります
  • ステロイド(プレドニン): 過剰な免疫反応を抑制します

これらの治療は、特定の免疫学的問題が確認された場合にのみ、専門医の指導のもとで行われるべきものなので、クリニックの担当医に相談をしてみましょう。

子宮内の微生物環境(マイクロバイオーム)への注目

近年の研究では、子宮内や膣内の微生物バランス(子宮内フローラ)が着床に影響を与える可能性が示唆されています。

  • 定期的な婦人科検診で感染症をチェック
  • プロバイオティクスの摂取(医師と相談の上)
  • 不必要な抗生物質の使用を避ける

子宮内フローラに関して、詳しくは以下の記事をご参照ください。

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5. 代替療法・補完療法の活用

サプリメントの適切な利用

以下のサプリメントが、一部の研究で生殖機能の改善に関連していることが示されています:

  • CoQ10(コエンザイムQ10): 卵子の質を改善する可能性
  • メラトニン: 抗酸化作用による卵子の質の向上
  • イノシトール: 卵の質と排卵機能の改善
  • DHEAとテストステロン: 医師の監督下でのみ使用すべき

ただし、これらのサプリメントは医師と相談した上で摂取することが重要です。

鍼灸治療の可能性について

鍼灸は、東洋医学に基づく伝統的な治療法であり、不妊治療の補完療法として注目を集めています。

国内外の様々な研究では、体外受精と鍼灸を併用することで成功率が向上する可能性が示されています。

鍼灸が体外受精の成功率向上に寄与する可能性のあるメカニズムは以下のようなものです。

  • 血流の改善: 鍼治療は子宮や卵巣への血流を増加させ、酸素や栄養素の供給を促進します。
  • ストレス軽減: 鍼灸はエンドルフィンの放出を促し、ストレスホルモンの低減に役立ちます。
  • ホルモンバランスの調整: 特定のツボを刺激することで、生殖ホルモンのバランスを整える効果が期待できます。
  • 子宮内膜の血流改善: 子宮内膜の血流が改善されることで、着床に適した環境づくりをサポートします。

特に胚移植の前後に行われる鍼治療は、子宮の血流を改善し、リラックス効果をもたらすことで、着床率向上に寄与する可能性があります。

2002年にドイツで行われた研究では、IVF周期中に鍼治療を受けた女性の妊娠率が対照群と比較して約10%高かったという結果が報告されています。

鍼灸院を選ぶ際の注意点

鍼灸治療を検討する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 不妊治療や生殖医療に精通した鍼灸師を選ぶ
  • 主治医に鍼灸治療を受けることを伝え、連携して治療を進める
  • 体外受精周期のどのタイミングで鍼灸を受けるのが最も効果的か相談する
  • 個人の体質や状態に合わせたオーダーメイドの治療を受ける

鍼灸は副作用が少なく、リラックス効果も得られるため、体外受精を受ける多くの方にとって、医療的治療を補完する選択肢として検討する価値があるでしょう。

きむら鍼灸は、栃木県宇都宮市でいち早く不妊専門の鍼灸を始め、そして500人以上の方をご懐妊に導いてきました。

体外受精のための鍼灸をお探しなら、ぜひ当院にご相談ください。

まとめ

体外受精の成功率を高めるためには、医学的なアプローチだけでなく、生活習慣の改善やストレス管理、子宮内環境の最適化、そして必要に応じて補完療法の活用など、総合的なアプローチが重要です。

ただし、これらの方法はすべての人に同じように効果があるわけではなく、個人の状況や原因によって最適なアプローチは異なります。

必ず医療専門家のアドバイスを受けながら、自分に合った方法を見つけていくことが大切です。

体外受精は身体的にも精神的にも負担の大きい治療ですが、希望を持ち、できることから少しずつ改善していくことで、赤ちゃんを授かる可能性を高めることができます。

あなたの体外受精の旅が実りあるものとなることを心より願っています。

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