こんにちは。不妊カウンセラー鍼灸師の木村です。
「少しでも着床率を上げたい」、これは不妊治療を受けている人すべてが思うことでしょう。
一般的な着床率を上げる方法は試したことがある方が多いのではないでしょうか。
今回は着床のためにできることについて詳しく書いてみたいと思います。
着床のためにできる検査
着床不全の方に対して、原因を探るために子宮内環境の検査が行われていることでしょう。
多くのクリニックで実施されているのは、子宮鏡検査で子宮内腔の癒着、子宮筋腫・ポリープ、炎症などを調べるものです。
それ以外ではEMMA検査、ALICE検査、ERA検査ですね。
EMMA検査
EMMA検査とは子宮内のラクトバチルス菌の割合に着目して調べる検査です。
ラクトバチルス菌が90%以上保たれていると着床率も60%以上期待できるといわれています。
ALICE検査
LICE検査とは慢性子宮内膜炎に関わる菌が子宮内にいるかどうかを調べる検査です。
不妊症の約30%、反復着床不全・反復流産の方の66%が慢性子宮内膜炎といわれています。
ラクトバチルス菌が90%未満だった患者さんに対して行われるというクリニックもあります。
ERA検査
ERA検査とは着床に適した時期(いわゆる着床の窓)を調べる検査です。胚移植に適切な時期を評価します。
この検査結果で約30%の人が着床の窓がずれていることが判明し、移植日を修正することで妊娠率が25%向上すると言われています。
当院でもERA検査受けたことがある患者さんに聞いてみると、後にずれている方が多いように感じます。
子宮内フローラの改善

先ほどの検査のところで「ラクトバチルス菌」が出てきました。ラクトバチルスとは子宮内の細菌の1つです。
実は妊娠には「子宮内の細菌バランス」が重要とされています。
私たちの腸内にたくさんの種類の細菌の集団である「腸内フローラ(細菌叢)」が存在し、腸内環境を整えています。同様に子宮内にも「子宮内フローラ)が存在します。
近年の遺伝子解析技術により、以前は無菌状態と考えられていた子宮内にも善玉菌と悪玉菌がいて、これらが妊娠・出産に関わっていることがわかってきました。
善玉菌のラクトバチルスには、子宮や膣の乳酸菌を増やして酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑える、という働きがあります。
健康な女性の子宮内は細菌の割合がバランスよく保たれています。
しかし生活習慣の乱れやストレス、免疫力の低下によりバランスが乱れやすくなります。
すると善玉菌が減り、代わりに悪玉菌が増えることで子宮内炎症が起こります。
これにより免疫細胞が活性化し、受精卵を異物として排除したり、着床しても妊娠の継続を妨げる要因になります。
ラクトバチルスの割合が増えると妊娠率が向上することがわかっていることから、妊娠には子宮内の善玉菌の割合が多い環境にしておくことが大切です。
栄養の改善

すでにご存じの方も多いかもしれませんが、身体の栄養状況も着床率に影響します。
特に重要なのがビタミンDです。
ビタミンDは骨の成長を促進する作用や、血中カルシウム濃度を調節する役割のある栄養素ですが、妊娠率や妊娠継続率にもビタミンDが関係することが明らかになっています。
ビタミンDと不妊治療
2019年のイギリスで、不妊治療とビタミンDとの関連を調査した論文が発表されました。
「Vitamin D and assisted reproductive treatment outcome: a prospective cohort study.」という論文です。
この論文内ではビタミンDが足りている人・足りてない人では、着床率・妊娠率・出生率・流産率に差があると発表されています。
着床率や妊娠率に関して、ビタミンDが足りている人と足りていない人を比較すると15ポイント以上も差があるのです。
日本人のほとんどは慢性的なビタミンD不足と言われています。
今はビタミンDの良いサプリも多く発売されているので、上手く活用して着床率を改善するのは選択肢の1つだと思います。
まとめ
現代の不妊治療の研究では、着床率がどのようなことに影響受けるのかが、より詳しくわかってきています。
きむら鍼灸では最先端の臨床事例や研究をフォローアップしていますので、患者様に役立つ情報をお伝えできると思います。
詳しく知りたい方は、お気軽に施術中に聞いていただければと思います。