はじめに

ある日突然脱毛し始め、最初は10円玉程度の大きさだったものが徐々に脱毛範囲が広がり、ひどいと全身の毛がすべて脱毛してしまうこともあります。

原因は不明といわれておりますが、自分の毛包に対して攻撃してしまう自己免疫疾患説が有力と考えられております。

他にも様々な説が提唱されています

分類

円形脱毛症はいくつかの種類に分かれます。主なものは、以下の5種です。

            
単発型:脱毛斑が1~2箇所できるもの多発型:脱毛斑が10箇所以上できるもの(全頭の25%以下の面積)蛇行型:後頭~側頭部の生え際の毛が帯状に脱落する全頭型:頭の毛が全て抜けてしまうもの汎発型:頭の毛だけでなく、眉毛やまつ毛、体毛まで抜けてしまうものその他:男性型脱毛症、分娩後脱毛症、薬剤性脱毛症など

上記では単発型が最も改善しやすく、多発型、蛇行型・・・と移行するにつれ、改善が難しくなっていきます。

原因として考えられている説

毛包組織に対する自己免疫疾患

本来ヒトがもっている免疫システムは、外から異物が入ってきたとき、体にとって有害な異物だと認識し、攻撃して排除し、自分の体を守ります。

自分自身に対しては、自分と認識して攻撃をしない仕組みがあります(免疫寛容)。感染症から身を守れる、同じ病気に二度かからない、ワクチン接種に効果が出るのも、免疫システムのおかげです。

ところが自己免疫疾患では、自分自身の正常な細胞を異物と認識し、リンパ球や自己抗体を作り、自分の細胞に攻撃して組織の障害や病変を引き起こします。

円形脱毛症では、自分の体の一部である毛根にある毛包に対して、異物・外敵であると勘違いして、攻撃をしてしまいます。

当然毛根を攻撃されれば、炎症を起こし、抜け毛が増えてくることになります。その結果、脱毛症を発症します。

精神的ストレスによるもの

精神的ストレスを受けると、それに抵抗するために交感神経が活発に動きます。

交感神経は、心肺を早く動かしたり体温を上げるなどの働きがあり、身体がストレスと闘う準備をしてくれます。

このとき、ストレスが強すぎたり長く続いたりすると、交感神経に異常をきたします。その結果、血管を収縮させ、頭部への血流が悪くなり、毛根への栄養補給が行き届かなくなって脱毛が引き起こされると考えられます。

また、ストレスは、毛根への栄養補給を妨げるだけでなく、「自己免疫疾患」や「内分泌異常」などのさまざまな疾患を誘因することもあります。

合併症

橋本病、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、などと合併することがよく知られています。

皮膚科で行われる治療について

日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版によりますと、以下のとおり多岐にわたります。

~~~以下 日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版 より抜粋~~~

・ステロイド局所注射

・ 局所免疫療法

・ 点滴静脈注射によるステロイドパルス療法

・ ステロイド内服ないし内服ステロイドパルス療法

・ 第2世代抗ヒスタミン剤

・ セファランチン

・ グリチルリチン、メチオニン、グリシン複合剤

・ ステロイド外用

・ 塩化カルプロニウム

・ ミノキシジル

・ 冷却療法

・ 直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザー療法)

・ PUVA療法

・ シクロスポリンA(CyA)

・ 漢方薬

・ 精神安定剤

・ アンスラリン外用

・ 催眠療法

・ 鍼灸治療

・ 分子標的治療

・ かつら

 ~~~以上 日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版 より抜粋~~~

当院で行う円形脱毛症に対する鍼灸治療

当院での円形脱毛症の治療では、上記のスーパーライザー(SL)療法と鍼灸治療をあわせた「鍼SL併用療法」を行っております。

~~以下 日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版 より一部抜粋~~

●スーパーライザーについて

直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザーⓇ)に関しては,2 件の非ランダム化比較試験より,単発型や多発型の症例にカルプロニウム塩化物,セファランチン,グリチルリチン,抗ヒスタミン薬を併用しながらスーパーライザーⓇを照射した場合に,照射部位では非照射部と比較して,50%以上の発毛回復期間が短縮することを示唆する弱い根拠が見いだされている。

~~~  (中略)  ~~~

直線偏光近赤外線照射療法に関しては,熱傷を引き起こさないように 1 回照射量に注意しながら,単発型および多発型の症例に併用療法の一つとして行ってもよいことにする。

●鍼灸治療について

2編の症例集積研究と,4 編の症例報告がある。前回のガイドライン発行以降は本邦では 4 例の症例報告の会議録があり,詳細は不明であるが,いずれも発毛を示した。

鍼灸の施術方法は施術者や患者ごとに同一の方法ではなく,病状の経過の記載も不十分で,医学的な評価水準には達していない。

現段階では鍼灸治療による発毛効果に関して有用性を論じる段階にはないが,すでに広く実施され発毛効果を示す症例報告がある点を考慮し,また無効あるいは有害であることを示す良質のエビデンスも存在しないことから,推奨度を C2 とした.今後は,実施方法,評価方法を統一し,臨床試験で十分に検証されるべきである。

~~~ここまで~~~

以上のガイドラインでは、鍼灸治療は施術方法、経過などの検証と記載がないため、評価水準に達しないとのことです。

当院の主な治療法

やはり今後は、「どのタイミングでどのような方法により、やらないのに比べ、やったほうが発毛効果がある。」ということを検証し、報告していかねばならないと考えております。

当院では、これまでの円形脱毛症への鍼灸治療の経験から、「鍼治療×スーパーライザー」に加え、脱毛部に対しての炭酸ミスト射出で相乗効果が期待できると考えております。

詳しくは症例をご覧ください。

患者様の主な症例とその後