(体外受精にて妊娠した症例です)41歳女性、身長164cm、体重49㎏、BMI18.2

●ご主人:48歳、製造業

●既往歴:子宮内膜ポリープ

●家族歴:母 子宮癌→子宮全摘出

●月経歴:初経12歳、月経周期は28日、月経随伴症状は腹痛と腰痛(ひどいときはロキソニン服用)

●現病歴:X-3年結婚。自己流でタイミング取るも妊娠せず。X-1年より挙児希望で婦人科受診。年齢的なことから、体外受精を提案されて実施する。採卵1回、初期胚移植2回行うも判定は陰性。その翌月に当院へ来院。

●所見:首~肩こり、肩甲間部のこり、腹部と腰部の冷え感

   婦人科クリニックで月経3日目のホルモン検査は

   PRL8.49(ng/ml)、LH3.07(mIU/ml)、FSH4.51(mIU/ml)

●治療:初診より1~2ヶ月後に移植を計画している。まずは首肩こりの治療、腹部・腰部の冷えをとり、妊娠~出産~育児を受け入れられる身体作りを行う。当院での治療だけでなく、自宅でもセルフケア灸を行ってもらった。とくにART周期でないときはタイミングをとるも、妊娠せず。凍結胚移植に向けて、子宮の血流動態を改善し、子宮内膜肥厚を目指す治療を行う。初診より2ヵ月後に胚盤胞移植を行い、妊娠判定陽性となる。その後8週まで治療を行い、生活に支障のない範囲での胃のむかむかはあったが、安定しているので終了となる。鍼灸治療回数は16回。

●考察:子宮の血流動態が子宮内膜の厚さに関与し、それが不妊症の成績に影響するとの報告がある(難治性不妊症とその対策:産婦人科治療P114 vol98 no2-2009/2)。
名古屋市にある明生鍼灸院(不妊鍼灸の分野では積極的に学会発表や臨床研究を行っている業界では有名な鍼灸院です)のJISRAM名誉会員の鈴木先生、JISRAM学術部長の木津先生よりご指導いただいた子宮の循環改善の効果が期待できる施術を行い、これが着床環境の改善につながったのではないかと考えている。