【主訴】

挙児希望

 

【既往歴】

PCOS

 

【現病歴】

X-12年結婚。仕事上の原因で発症したうつ症状の治療をしていた。

X-3年仕事落ち着き妊活開始。人工授精を3回行うも結果出ず。

X年クリニックを転院し体外受精にステップアップする。

1回目の移植で4週目で妊娠反応が出たが、5週目で稽留流産。

2回目の移植を控え当院に来院。

 

【その他症状】

頭痛 肩こり 不安感

 

【治療方針】

移植にむけた子宮循環改善および免疫寛容を目的として治療を行う。

 

【治療経過】

SLにて星状神経節と大赫へ照射。下腿と仙骨部周辺に刺鍼を行い低周波鍼通電療法を行う。

頭痛や不定愁訴などに対する治療も随時行った。

鍼灸SL併用療法は5~7日に一回のペースで移植まで18回行った。

鍼灸18診目で胚盤胞移植を行い、その後妊娠反応陽性、胎嚢確認、心拍を確認した。

 

【考察】

胚移植に向けて子宮循環改善の治療を中心に行ったことで着床しやすい子宮環境につながったと考える。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の方が体外受精を行うと、採卵数は多く胚盤胞到達率が高くないという傾向がある。

この患者も採卵数33個、受精した卵6個、胚盤胞に到達したのは4個であった。

また自律神経の乱れによる症状は不妊治療に大きく関わってくるので注意が必要である。

不妊治療で使用するホルモン剤、採卵操作や移植準備は、体にかかる負担が大きく自律神経が乱れやすい。

不妊治療で鍼灸施術を行うことには子宮循環改善や卵巣血流改善を行うとともに、

刺鍼などの刺激によって筋緊張を緩和し、自律神経の不調を整えることができるという利点がある。

定期的に施術を行うことで不定愁訴などの治療の相乗効果も見込めるため、

鍼灸施術が不妊治療に貢献できる面は大いにあると考えた。