【主訴】

挙児希望(一人目)

 

【既往歴】

子宮筋腫

 

【現病歴】

X-4年結婚。

X-3年タイミング法で陽性反応でるも8週で流産

X-2年4月タイミング法で陽性反応出るも7週で流産

その後もタイミング法を続けるも結果が出ず

X-2年11月に大学病院を受診し検査を行う。人工授精2回行うも妊娠反応陰性。

X-1年転院し体外受精に移行する際に検査を行いAMHが低いことが判明。

体外受精を3回行うが結果が出ず、4回目となる体外受精を控え、

X年鍼治療を思いつき、当院に来院。

 

【その他症状】

抗リン脂質抗体陽性

 

【治療方針】

採卵に向けた卵巣の血流改善と不定愁訴の治療を行い、卵巣血流改善および免疫寛容を目的として治療を行う。

 

【治療経過】

採卵にむけての治療

SLにて星状神経節と子宮へ照射。陰部神経支配領域に刺鍼を行い低周波鍼通電療法を行う。

肩こりや不定愁訴に対する治療も随時行った。

鍼灸SL併用療法は5~7日に一回のペースで採卵まで7回行った。

 

1~2か月後の採卵を予定していたが、この後タイミング法にて妊娠検査薬で陽性反応を確認。

その後胎嚢、心音を確認し、その後はつわり症状への治療を行った。

 

【考察】

今回のような症例においては採卵に向けて治療を進めていたが、

タイミング法で陽性反応が確認できた、嬉しい誤算とでもいうような結果となった。

栃木県内の体外受精施設2か所、都内の体外受精施設2か所で合計4か所のクリニックへ転院した。

採卵は4回行ったが、凍結胚盤胞が一つ、移植は1度もしたことがないという状況だった。

この状況下でタイミングの回数を多めに図ることで妊娠、胎嚢・心拍を確認した。

無事出産につながってほしいと祈るばかりである。

この患者に対しては採卵に向けての治療と並行して不定愁訴への治療も進めていた。

採卵に向けての治療は卵巣の血流を改善することで良好胚が期待できる効果を見込んで行うが、

卵巣周囲の環境を改善することで、排卵障害や骨盤痛の治療にも使えるという面がある。

また体の冷えやコリなど不定愁訴の治療は妊娠力の土台作りに効果的であるということが

今回の結果に貢献できたのではないかと考える。

体外受精に移行し、タイミングを取る機会が減ることに対しては、

定期的に子宮内に精子が入る機会があると子宮内の免疫寛容に働くと考えられているため

無理なく機会を設けることが望ましいと考えた。