【主訴】

挙児希望

 

【既往歴】

子宮筋腫オペ済み 5年前に円形脱毛症

 

【現病歴】

X‐4年結婚

X‐3年子宮外妊娠で流産、処置を行う。

X‐1年クリニックを受診し体外受精を行うも、内膜が薄く移植が中止になった経験が二度あった。

X年4回目の胚移植を控え、当院に来院。

 

【その他症状】

首肩こり 月経時の腰痛

 

【治療方針】

移植できるレベルまでの子宮内膜肥厚を目的として、子宮循環の改善を図る。

 

【治療経過】

SLにて星状神経節と大赫、命門へ照射。下腿と仙骨上に低周波鍼通電療法を行う。

月経時の腰痛と首肩こりに対する治療も随時行った。

鍼灸SL併用療法は5~7日に一回のペースで11回行った。

※〇鍼目(施術回数) D〇(月経開始から〇日目) 〇mm(内膜厚)

 

2鍼目D8 5.1mm
3鍼目D13 7.6mm

この周期は目標である8mmに満たず移植中止

 

次周期

7鍼目D15 6.0mm
8鍼目D26 5.7mm

初回計測時に比べて肥厚してきたが8mmに満たず移植中止

 

次周期

9鍼目D13 6.0mm
10鍼目D19 9.0mm

鍼灸施術開始から10鍼目で9mmになる。

 

【考察】

鍼灸施術において7鍼目D15の6.0mmから10鍼目D19の9.0mmにおいて

異なる周期のほぼ同時期を比較し3.9mmの肥厚がみられた。

子宮周囲の血流改善と体の不調に対する治療が内膜肥厚に貢献できると考えた。

体外受精において移植する際に子宮内膜の厚みはその指標としてあるが、

内膜は計測した部位によって1mm~2mmの誤差が生じうることがある。

また内膜の肥厚しにくさの原因は高齢によるものや心身のストレスや睡眠不足、

若齢にしての肥厚しにくさには子宮内の一定の操作や処置(掻把や筋腫による手術)があったか、

などによる影響が大きいといわれている。

移植するのに理想的な厚みはあるものの、内膜の構造や移植する当日の体調などにも

着床の差がでるといわれているので内膜の厚みに対してシビアになりすぎないことが大切である。