【主訴】

挙児希望

 

【既往歴】

特記すべきことなし

 

【現病歴】

X‐1年ご結婚

クリニックに通院し妊活をはじめ、多嚢胞性卵巣症候群の診断を受ける。

人工授精を4回行うも結果に繋がらず、

X年1回目の体外受精を行うも結果に繋がらず、2回目の体外受精を控え当院に来院。

 

【所見】

下腹部と足部の冷え、舌下静脈怒張

 

【治療方針】

採卵予定があるため卵巣血流改善と免疫寛容を目的として治療を行う。

 

【治療経過】

SLにて星状神経節と子宮穴への照射。陰部神経支配領域に刺鍼を行い低周波鍼通電療法を行う。

冷えなどの不定愁訴に対する治療も随時行った。

鍼灸SL併用療法は5~7日に一回のペースで37回行った。

その後移植を行うため、

SLにて星状神経節と大赫穴への照射。下腿と仙骨周辺に刺鍼を行い低周波鍼通電療法を行う。

鍼灸SL併用療法は5~7日に一回のペースで11回行った。

その後胚盤胞移植を行い妊娠反応陽性、胎嚢確認ができた。

 

【考察】

採卵にむけて卵巣血流改善を行ったことが、妊娠につながる良好胚の採取に貢献できたと考える。

また、所見の舌下静脈の怒張とは舌の裏にある舌下静脈が青黒く腫れているような状態のことを指す。

これは冷えや代謝の低下によって血流の流れが悪いことを表しており、

下腹部と足部の冷えからも体に慢性的な冷えがあることが分かる。

冷えによる血流の悪さは、組織に栄養を届きにくくさせることにつながる。

例として卵巣内では、卵子形成に卵巣周囲の血流が関係しており、

必要な栄養が行き渡らないことで良い卵子が作れないなどの影響を及ぼす。

一方では、冷えは交感神経と副交感神経で構成されている自律神経の乱れを起こすことも多く、

自律神経の乱れから起こる症状は頭痛、肩こり、不眠などをはじめとして

日常生活に悪影響を及ぼすものが多いことから、冷えに対する施術またはセルフケアでの

対策を普段から取り入れることが大切である。

鍼灸SL併用療法では、冷えに対する血流改善と自律神経の乱れから起こる症状の

両方への治療を行うことができるため、

冷えや自律神経の乱れを改善し妊活に貢献できると考えた。