【主訴】

挙児希望

 

【既往歴】

子宮内膜ポリープ 高プロラクチン血症

 

【現病歴】

X-3年結婚。

X-2年に不妊治療を開始し、高プロラクチン血症の服薬で治療を行う。

クロミッドを服薬しタイミング法を行う。

X年2月に子宮内膜ポリープのオペを行う。

X年鍼治療を思い立ち当院に来院。

 

【その他症状】

時折無排卵

 

【治療方針】

採卵したのちに凍結胚移植を行うことを視野に入れ、

採卵に向けた卵巣の血流改善を行い、また移植にむけた子宮循環改善および免疫寛容を目的として治療を行う。

 

【治療経過】

採卵にむけての治療

SLにて星状神経節と子宮へ照射。陰部神経支配領域に刺鍼を行い低周波鍼通電療法を行う。

肩こりや不定愁訴に対する治療も随時行った。

鍼灸SL併用療法は5~7日に一回のペースで採卵まで8回行った。

 

移植に向けての治療

SLにて星状神経節と大赫へ照射。下腿と仙骨部周辺に刺鍼を行い低周波鍼通電療法を行う。

肩こりや不定愁訴に対する治療も随時行った。

鍼灸SL併用療法は5~7日に一回のペースで移植まで22回行った。

鍼灸23診目(体外受精移行後)で胚盤胞移植を行い、その後妊娠反応陽性を確認した。

 

【考察】

鍼灸施術において採卵に向けて治療を行った結果は

採卵数8個 受精卵数6個 凍結胚数が3個という結果に至り、

移植するまでの内膜の平均の厚みは平均6.5mmで

移植する8日前では内膜の厚みは7.6mmであった。

胚移植に向けて子宮循環改善の治療を中心に行ったことで着床しやすい子宮環境につながったと考える。

鍼灸施術において卵巣周囲の血流改善と子宮周囲の血流改善に貢献できると考えた。

またおもに無排卵がある原因としては過度なストレスやダイエット、不規則な生活、喫煙などがあげられるが

抗うつ剤の服薬や多嚢胞性卵巣症候群などの卵巣の病気も考えられる。

(この患者においては多嚢胞性卵巣症候群ではないことが検査で分かっている。)

排卵しているかいないかの判断は基礎体温を測ることや排卵検査薬などで確認することができる。

服薬によっては基礎体温が狂いがちになることがあるが、この治療においては

基礎体温を測ることはとても重要である。原因が分かればそれに対する治療をおこなうことができ、

妊娠により近づく近道になるのではと考えた。